2025年3月の『情熱大陸』に書体設計士の鳥海修(とりのうみ おさむ)さんが出演しました。
文字デザインの世界で活躍する「書体設計士(フォントデザイナー)」とは一体どういう仕事なのか気になりますよね!
そこで今回は美しい「文字」を生み出すプロフェッショナル書体設計士という仕事の年収や、なるにはなにか資格がいるのかについて調査して紹介します。
- 書体設計士の年収は?
- 書体設計士なるには資格いる?
- 書体設計士は激戦の狭き門の職業!
書体設計士はどんな仕事?
まず最初に「書体設計士」とはどういう仕事かというと文字や書体をデザインする専門家です。
具体的な仕事内容は下記の通りです。
- フォントデザイン
- 書体データの制作
- ロゴデザイン
- オリジナルの書体コンセプトを提案
- 文字の調整
詳しく見ていきましょう。
①フォントデザイン
書体設計士は、コンセプトや目的に合わせて新しい文字(フォント)のデザインをします。
これは、ひらがな・カタカタ・漢字・英数字といった多種多様な文字を組み合わせて作成することになります。
②書体データの制作
基本的なデザインを決めたら、文字のセットに合わせて書体のデータを作ります。
③ロゴデザイン
商品ロゴや書籍のタイトルには必ずロゴデザインが施されています。
様々な企業を見ても、ロゴを見るだけで「ここの会社!」とわかりますよね。

ロゴデザインは私たちの日常に身近ですよね!
④オリジナルの書体コンセプトを提案
新しい書体を作るプロジェクトは、コンセプトを立てるところから始めます。
企業などクライアントさんの要望を聞いて、市場のトレンドとのバランスを考えながらその企業が納得できる書体コンセプトを提案します。
⑤文字の調整
デザインした文字を細かく調整して美しいアウトラインに整えていくのも書体設計士の大切な仕事です。
手作業で1つ1つを修正したり、デジタルの力を借りて微調整して完成品に仕上げていきます。
上記の仕事内容を見ていると、書体設計士の仕事は「文字」を作る工程全てに関わっていることがわかりました。
書体設計士の仕事は専門的で、文字の美的センスだけでなく、そもそもの技術的なスキルと忍耐力も必要。



たった1つの根気のいる作業なので、「文字」をこよなく愛する人に向いていると感じました。
書体設計士の年収は?
クリエイターの仕事の斡旋をしているフェローズの情報によると、書体設計士の年収は平均で480.6万円です。
フォントデザイナーの年収として公的な統計はありません。類似する職種として、グラフィックデザイナーの平均年収は480.6万円となっています。
引用元:フェローズ
これは書体設計士全般の平均年収のため、実際には個人のスキルや経験、所属している会社によってかなり幅があるのが現実とのこと。
ちなみに、他のデザイン系専門職の平均年収は下記の通り。
- グラフィックデザイナー:467万5,000円
- Webデザイナー:352万円
- ブックデザイナー:300万円〜500万円
これらのデザイン系職種の平均年収と比較すると書体設計士の年収はデザイン業界の中で平均と言えますね!
たとえば、現在日本を代表する有名な書体設計士の鳥海修さんの場合、本業の書体設計士としての収入以外にも収入源があります。
書体設計士以外にも講師や経営側としての収入もプラスされ推定年収は1,800万円以上とも!
このように、書体設計士としてのキャリアを積み重ねていくうち本業以外からの収入源も生まれやすくなるため一気に高収入を得られるという可能性もあります。
デザイン業界はこれから益々人気の一方、忙しすぎるのに給料が安いなどブラックな側面も浮き彫りになっています。
それでも、デザイン系職種は人気なので書体設計士になって年収を上げていきたいという方は以下のようなポイントを押さえると良いかもしれません!
- 常に新しい技術や表現方法を学び続ける!
- 自分の作品をアピールできるようポートフォリオを充実させておく
- 自分の働きたい業界に人脈を広げておく
- 本業を使った他の収入源作りに目を光らせておく
書体設計士に限った話ではありませんが、デザイン系の職種は個人差が大きく年収を上げていく人もいれば現状維持の方もいます。
始まりが同じでも、経験や努力次第で差が生まれていき上がっていく可能性は大いにあります。
書体設計士を目指している方で年収が心配という方もいるかもしれませんが、逆に言うと自分の努力次第で年収を上げていけるという点が魅力的ではないでしょうか!
書体設計士なるには資格いる?


結論から言うと、書体設計士になるために絶対的に必要な資格はないそうです。
しかし、関連する資格を取得することでスキルアップや就職・転職に有利になる可能性があります。
書体設計士を目指す上で役立つ資格を下記にまとめました。
- レタリング技能検定
- カリグラフィーデザイナー資格
- グラフィックデザイン関連の資格
レタリング技能検定は、文字デザインの技術力を示す検定試験。


この資格は4級から1級まであり、3級以上になるとプロのデザイナーレベルと言われています。
カリグラフィーデザイナーは、ヨーロッパの美文字技法でアルファベットを決められた技法で美しく書くものです。
他にも、イラストレーターがよく使うソフトウェア「Adobe Illustrator」「Photoshop」「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」といったものをスムーズに使えるよう準備しておくのも良さそうですね!
書体設計士になるために大切なことは?
書体設計士なるには特別な資格よりも、実際の技術や経験が重要というのが本当のところのようです。
多くの一般的な書体設計士は、デザイン系の専門学校や大学で学んだ後、実務経験を積んでいきます。
また、独学で技術を磨きポートフォリオを作成して就職や転職を目指す方も!
書体設計士を目指す上で大切なのは、
これらのスキルや資質を磨きながら、実際に書体をデザインし、ポートフォリオを充実させていくことが、書体設計士への近道となるでしょう。
書体設計士は激戦の狭き門の職業!
書体設計士は魅力的な職業ですが、激戦の狭き門の職業ともいえます。
なぜなら、書体設計士として働ける場は限られていて多くの人々がこの職業を目指しているからです。
書体設計士が激戦の狭き門である理由には下記のようなものがあります。
- 需要が限られている
- 高度な専門性
- デジタル化の影響
- 世界中にライバルがいる
書体(フォント)は1度作成されると長期間使用されるため、次々新しい書体が必要というわけではありません。
そのため他のデザイン系の職種に比べて需要が限られています。
需要が少なめなのに、かなり専門的な技術力が必要というのも狭き門といえます。
何千もの文字をデザインして全体のバランスが調和のとれたものになるよう調整するというのは長年の経験で身につく技術でしょう。
また、デジタル技術が発達したため既存の書体をいとも簡単に使用できるようになりました。



これにより、新しい書体の需要が以前ほど高くないという状況も…
さらには、「フォント」という世界中の人が使うものだからこそライバルが日本だけではないことも狭き門といえますね。
しかし、書体設計士という職業が激戦の狭き門だからこそ、この職業に就くことができたら大きな達成感と誇りですよね。



もし自分が書体を生み出すことができたら名誉なことですね!
文字が大好きで「書体」と向き合うことに幸せを感じる方であればぜひ目指してみて欲しいと思います。
書体設計士になるには?
鳥海修さんのインタビューや、フェローズなどクリエイター紹介のサイトを参考に書体設計士になるにはどのようなアプローチがあるのかまとめました。
- インターンシップや見習いとして経験を積む
- 個人プロジェクトで独自の書体を開発しポートフォリオを充実させる
- 書体デザインのコンペティションに参加する
- SNSなどを活用して自身の作品を積極的にアピールする
- 関連するデザイン分野(グラフィックデザイン・タイポグラフィなど)でキャリアをスタートさせる
お伝えしてきた通り、書体設計士は「激戦の狭き門である職業」と言えますが興味を持っている方はぜひチャレンジしてみる価値のある素晴らしい専門職だと思いました。
まとめ
今回は『書体設計士の年収は?なるには資格いる?激戦の狭き門フォントデザイナー!』と題して、書体設計士の年収や書体設計士になるには資格がいるのかなど激戦の狭き門といわれる職業についてお伝えしました。
文字の美しさと機能性を追求する魅力的な職業・書体設計士(フォントデザイナー)の年収は平均的なデザイン職と同程度(500万前後)とわかりました。
ただ、本業の書体設計士を軸に活躍を広げていくと高収入を得られる可能性も。
書体設計士になるための特別な資格はありませんが、関連する資格を取得することでスキルアップや就職に有利になるでしょう。
ただ、資格よりも実際の技術や経験、独創性、なにより「文字」が好きという気持ちが重要です。
書体設計士は激戦の狭き門ですが、それだけにやりがいのある職業。
文字に対する深い愛情と、デザインへの情熱がある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!